7. 現実に立脚し、世界に貢献する外交・安全保障


(1)総論・予算

  1. 世界の平和と繁栄に貢献する外交政策を理念として、日本の主権と領土を自力で守る体制を整備し、政権を担える政党として現実的な外交と安全保障政策を展開します。
  2. 防衛費のGDP1%枠を撤廃し、テロやサイバー・宇宙空間への防衛体制をさらに強化します。また、領域内阻止能力の構築について、積極的な検討を進めます。

(2)国内基盤整備

  1. 自衛隊員の待遇を抜本的に改善し、任務に応じた危険手当を創設する等、自衛隊及び隊員の地位向上を実現します。
  2. 防衛施設周辺や国境離島の土地等が外国人・外国企業に購入され、我が国 の安全保障を脅かす事態が生じていることに鑑み、国家安全保障上重要な土地等の取引等については厳格に規制を強化します。
  3. 我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、領海などにおける公共の秩序の維持を図るため、自衛隊法及び海上保安庁法を改正し、自衛隊の部隊による警戒監視の措置及びその際の権限について定めるとともに、海上保安庁の任務として領海の警備が含まれることを明記します。
  4. 米国のCIAのような「インテリジェンス」機関を創設するとともに、諸外国並のスパイ防止法を制定し情報安全保障を強化します。
  5. 先進諸外国では標準とされている戦争被害補償法制の整備に向けた議論を開始します。
  6. 国家のために亡くなられた方々への対応・慰霊が不十分である現状を重く受け止め、遺骨の収集や旧軍墓地の国立化を進めます。自衛官等の殉職者への追悼のあり方についても、国家として適切な対応を行います。

(3)日米関係

  1. 日本周辺の安全保障環境が厳しさを増す中、日米同盟を基軸とし、日米英印豪台など共通の価値観を持つ海洋国家ネットワークで我が国の防衛力を強化します。
  2. 日米が対等の関係に立つことが同盟の維持には不可欠であるとの認識の下、米軍人、米軍属等の犯罪行為に厳正な態度で臨みます。特に沖縄県民はじめ日本国民の生命、身体、財産を守り、法の下の平等を保障するため、日米地位協定を抜本的に見直します。
  3. 沖縄基地問題については、日米政府が真摯に対話を重ね、合意可能な新たな基地負担軽減プラン(訓練場所等の暫定的な移転も含む)を示します。また、地方自治体・地域住民との合意形成に必要な手続き法の制定を検討します。
  4. 集団的自衛権行使の要件を厳格化するため、現行の「存立危機事態」の要件に代えて、「米軍等防護事態」(日本周辺で、現に日本を防衛中の同盟国軍に武力攻撃が発生したため、わが国への武力攻撃の明白な危険がある事態)を規定し、対象範囲を限定します。

(4)国際連携

  1. 国連平和維持活動(PKO)において、明確な停戦合意が確認できない地域で活動するケースが増えていることから、「PKO5原則」の実態に合わせた見直しを検討し、国際平和への積極的な貢献 を推進します。
  2. 国際社会でポスト核拡散防止条約(NPT)体制を追求するべく、核軍縮に向け新たなテーブルを構築します。
  3. 偶発的な武力衝突を回避するため、日中当局間の「海空連絡メカニズム」等の措置を取れるよう、自衛隊および海上保安庁が体制を構築します。
  4. 過剰な海洋権益を主張し国際社会の 脅威となる国家に毅然とした対応をとるため、オーストラリアやインド、ASEAN諸国など「航行の自由作戦」に参加した諸外国との連携を強化します。
  5. 北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題については、日米韓中など国際社会と連携して断固たる措置を実施します。特に拉致問題については今世代で解決すべく、一日も早い全ての拉致被害者の奪還に向けて外交努力を尽くします。

(1)自由貿易・連携

  1. TPPを基軸として域内経済連携に積極的に関与し、世界規模での自由貿易の推進、自由主義経済圏の拡大をはかります。
  2. ODA予算を有効活用し、積極的な対外支援策に転換させることで、途上国との友好と経済安全保障を促進します。
  3. 海外からの投資を呼び込みやすい環境を整備し、自由で開かれた貿 易投資を実現すると同時に、経済安保・技術流出防止の観点から、我が国の安全を脅かす投資については、実効的かつ機動的な対応を行える立法措置を検討します。
  4. 国連安全保障理事会の常任理事国入り実現のため、積極的な働きかけを展開します。同時に、国際機関における要職に日本人を送り出し、財政的貢献だけでなく人的貢献を図り、我が国のプレゼンスをより一層向上させます 。

(2)特定国への対応

  1. 国際社会の普遍的価値観を中国と共有できるよう、安全保障や経済における多国間協議の枠組みを活用し、戦略的互恵関係の基本原則に立脚し対話を重 ねます。昨今の香港やウイグル・チベットのように、自由・民主主義・人権の尊重・法の支配が認められない事態が生じた場合は、毅然とした外交対応を行います。
  2. 我が国の安全保障上の脅威となる中国共産党の武力による現状変更を防ぐため、とりわけ「台湾統一」への動きについては台湾の意思を尊重し、国内および日米間における台湾有事の際のルールを早期に策定します。
  3. 台湾の国際関係機関へのオブザーバー参加を後押しし、また香港については、自由で開かれた香港が維持されるよう国際社会と連携します。
  4. 国際的な人権侵害が頻発している事態に鑑み、人権侵害を行った個人・団体を対象とし、ビザ規制や資産凍結などを行う 人権侵害制裁法 の制定を検討します。
  5. 尖閣諸島については、行政権の行使等を通じて実効支配力を強化します。
  6. 韓国内で発生した旧朝鮮半島出身労働者(徴用工)問題や、日韓の領土・安全保障に関わる事態については日本の立場と国益に基づく毅然とした対応を取りながら、未来志向の日韓関係を構築します。
  7. 歴史的に友好関係にあるアラブ諸国との関係を強化し、対話を通じた中東和平の実現に向けて日本独自の役割を果たし貢献します。
  8. ロシアとの戦略的互恵関係を強化しつつ、我が国固有の領土である北方領土の帰属問題を解決し、平和条約の早期締結を目指します。