4. 多様性を支える教育・社会政策、将来世代への徹底投資


(1)無償化・予算措置

  1. 家庭の経済状況にかかわらず、等しく質の高い教育を受けることができるよう、義務教育の他、幼児教育、高校、大学など、教育の全過程について完全無償化を憲法上の原則として定め、給食の無償化と大学改革を併せて進めながら国に関連法の立法と恒久的な予算措置を義務付けます。
  2. OECD加盟国で最下位となっている教育予算の対GDP比を引き上げ、教育への公的支出を他の先進国レベルに向上させます。
  3. 教育バウチャー(塾代バウチャー)制度の導入・普及に努め、教育機会を拡大するとともに、多様なプレイヤーの競い合いによる教育の質と学力の向上を目指します。

(2)制度改革

  1. 大学入試改革における英語試験については、経済格差や地域格差、障がい者対応などに十分に配慮した上で、民間試験導入を進めます。
  2. 新型コロナを機に検討された9月入学制度については、海外大学と入学時期を一致させ海外留学を円滑化するとともに、優秀な外国人学生を確保による大学の国際競争力向上につながることから、引き続き導入に向けた積極的な議論と検討を継続します。
  3. 教育委員会の必置規則を見直し、教育行政制度について自治体の選択制とすることで、文科省を頂点とするピラミッド型教育行政から地方分権型教育行政への転換を図ります。
  4. 公設民営学校の設置等、地方の発意で多様な教育のあり方を可能にする制度を整備します。また学校設置基準を見直し、学校のあり方についても多様化を促進します。

(3)教員待遇

  1. 校務分掌や部活動の見直し、校務の情報化の推進などを通じて教員の負担軽減を図り、教育に専念できる体制を整えます。
  2. 教員養成課程・採用試験・兼業副業規定等の見直しなどを含めた教員免許制度の抜本的な改善を通じて、社会経験を経た多様な人材が教員として活躍しやすい環境を促進します。

(4)カリキュラム

  1. 学校での授業と企業等でのインターンシップを並行して進め、切れ目なく職業人を育てる「デュアルシステム」によるキャリア教育の導入と、それに柔軟に対応できる「飛び級制度」整備を推進します。
  2. 小中学校での必修科目に「ディベート」を設け、国際社会で活躍できるスキルの早期取得を促進します。
  3. 高校、大学における「飛び級」進学・入学や、必要に応じた十分な留年・再学習を認めると同時に、各種資格についても年齢要件を見直し、教育を年齢主義から修得主義とすることで、日本社会の根底にある年齢主義構造の改革を行います。
  4. インターネットの発達などによる児童・生徒の性意識・性知識の早熟化に対応するため、性的リスクなどに対する知識を発達段階に応じて教えられるよう、教育現場における指導方法や教員の対応及び学習指導要領を適切に見直します。
  5. 特に若年層で政治への関心が低いことに鑑み、主体的に考えて議論し、意思決定を促す取 組を含めた主権者教育(シティズンシップ教育)を充実・強化します。
  6. 地域の歴史に関する調査・教育活動を支援するとともに、教養・教訓的観点のみならず主権者教育の観点からも、近現代史を中心とした歴史教育のさらなる改善・充実を図ります。

(5)ICT化

  1. コロナ禍を契機として急速に進んだオンライン教育体制の効果・課題をしっかりと検討し、コンテンツの充実やきめ細やかな ICT端末の有効利用を図り、学力格差の是正や教員の勤務環境の改善策を講じます。
  2. デジタル教科書については完全無償化するとともに、個人情報に配慮しながらデジタル教科書を使用した生徒のビッグデータを活用し、最新テクノロジーを駆使した効率的・効果的な学習支援を行います。

(6)不登校・いじめ対策、特別支援

  1. 臨床心理士・公認心理師を始めとする常勤スクールカウンセラーの配置を全国的に促進し、いじめや不登校など学校内で生じる問題解決を図ります。
  2. 不登校児が通うフリースクールの単位参入認定を促進する等、現行の学校や教育に馴染めなかった児童・生徒に多様な居場所を提供します。
  3. 障がい児への学習・キャリア支援の改善に向けて、教員免許取得時のカリキュラム改善や部門別採用などを通じ、専門知識をもった教員の育成に努めます。
  4. 障がい児がライフステージを通じて一貫した療育支援を受けられるよう、療育 (発達支援)施設の拡充など地域における療育支援体制を構築します。
  5. 教員から子どもへのわいせつ事件が後をたたない事態に重く鑑み、教職免許を再交付しないことを可能とする立法に続き、過去の性犯罪経歴の照会や無罪証明書の発行ができる「日本版DBS」の創設を検討します。

(7)生涯教育

  1. 生涯にわたり学びと就労の機会を提供するため、リカレント教育の促進などを通じ、学校に行けなかった大人の再チャレンジを可能にする社会を実現します。

(1)待機児童対策

  1. 認可保育所の設置基準や運営補助金について、柔軟性を欠く全国一律の基準を改め、原則として条例で決められるようにする等、保育政策の地方分権化を徹底し、地域の実情に応じた保育サービスを可能にします。
  2. 規制改革により保育サポーター制度の導入やベビーシッター、小規模保育・病児病後児保育事業の拡大など保育サービスの多様化を促進し、待機児童問題の抜本的な解決を図ります。
  3. 病児病後児保育・ベビーシッターや子育て世代向けの住宅利用等、さまざまな子育て支援サービスに利用できる子育てバウチャーの導入・大幅な拡充を進めます。
  4. 所得税法を改正し、学資金だけでなく保育にかかる費用について原則非課税とし、地方自治体からの子育て費用の助成を促進し、直接給付を重視する方針への転換を図ります。

(2)保育所・保育士待遇

  1. 保育士の給与について、官民格差の是正や正規・非正規職員間の同一労働同一賃金、私立保育園と無認可保育施設の保育士の処遇の大幅改善など、抜本的な処遇改善を行います。
  2. 長時間労働、サービス残業、持ち帰り残業を撤廃するなど保育士の働き方改革を推進し、保育士不足の解消に努めます。
  3. 保育所での重大事故を防ぐため、自治体に認可外を含めた事前通告なしの抜き打ち調査の実施権限を付与するとともに、重大事故から指導歴に至るまで情報公開を徹底し、保育の質の向上を図ります。
  4. 保育士やベビーシッターなど、子どもに関わる職種に就く者の性犯罪歴の証明届出義務化を検討し、子どもへの性犯罪被害を防止します。

(3)特別支援

  1. 医療的ケア児について、看護師らを車両に同乗させる通学支援の拡充や医療的ケア児対応型の保育園の増設など、当事者とその家族への支援を促進します。
  2. 自治体の支援が行き届かない多胎児家庭の実態を把握し、産前産後ケアの充実など適切な支援体制整備を促進します。
  3. 新たな社会問題となりつつある育児と介護のダブルケア問題解決のため、自治体に実態調査・把握を促すとともに、育児・介護の縦割りに阻まれない支援体制を整備します。
  4. 重大な児童虐待を撲滅するため、弁護士等の専門家を常駐させるなど児童相談所の機能強化と、ニーズに応じた機能分担を推進します。また、特別養子縁組の促進や里親委託率の向上のため、自治体や民間支援団体との連携を強化します。
  5. 児童相談所の一時保護所における混合処遇を廃止し、義務教育を受けられない保護児 童は原則通学できるよう子どもの保護環境を改善します。
  6. コロナ禍で特に困窮しているひとり親支援を拡充するほか、社会問題化している養育費の不払いについて、国が立て替えた上で不払い者に強制執行できる制度を創設し、子どもが両親の離婚によって経済的な不利益を被らない環境を整えます。

(4)少子化対策

  1. 子どもの数が多いほど税負担の軽減が大きくなる「N分N乗方式(世帯単位課税)」を採用し、子育てによる経済的負担を軽減します。
  2. 妊娠・出産にかかる費用や手続きがいまだ大きな負担になっている現状を見直し、いわゆる出産育児一時金 の増額・簡素化や妊婦健診にかかる費用の完全無償化など、妊娠・出産への負担の最小化を図ります。
  3. 政府与党で検討がなされている「子ども庁」については、組織ありきの議論には与さず、まず子どものために使われる大規模な財源を確保することを目指します。具体的には、予算枠を財務省の取りまとめから独立させ、 GDPの一定割合を必ず子どものために配分する等と定めた上で、その財源を着実に活用できる組織のあり方を検討します。

(5)共同親権

  1. 子どもの福祉・最善の利益の確保のため、主要先進国で法制化されている共同親権・共同養育については、DV(家庭内暴力)被害等に十分に配慮をしながら導入を推進します。

(1)働き方・雇用

  1. テレワーク・時差出勤・フレックスタイム制の推進や、駅ナカや駅チカで保育所とオフィスを複合した「準・在宅ワーク」の拠点整備等を行い、出産・育児期に女性の就労率が極端に下がる、いわゆる「M字カーブ」を解消します。
  2. 女性の雇用においてはすでに正規・非正規雇用が逆転している現状に鑑み、正規・非正規を問わない「同一労働同一賃金」を、女性が働く環境整備としても実現します。
  3. 育児や介護を理由とした離職を防ぐため、育児・介護支援のみならず家事支援サービスの利用促進を図るなど、働きながらケアができる体制整備に努めます。
  4. 企業の女性雇用率や女性役員比率、男性育児休業取得率などに応じて政策的な減税を行い、女性や子育て世代が活躍しやすい機会を増やします。

(2)選択的 夫婦別姓

  1. 戸籍制度を維持しながら実現可能な夫婦別姓制度の導入を目指します。具体的には、同一戸籍・同一氏の原則を維持しながら、旧姓使用にも一般的な法的効力を与える選択的夫婦別姓制度を創設し、結婚後も旧姓を用いて社会経済活動が行える仕組みを整備します。

(3)DV・性被害対策

  1. 性暴力被害者、セカンドレイプ被害者への支援を強化するとともに、出所者を把握し、治療に結び付けるなど性犯罪再犯の防止策の法制化を検討します。
  2. DV(家庭内暴力)撲滅のため、DV相談の強化、民間シェルターの支援拡充、高葛藤ケースにおける面会交流の取り止めを適切に行い、早期発見と被害者支援を徹底します。
  3. 性的虐待から子どもたちを守るため、13歳となっている性的同意年齢の引き上げや構成要件の見直しなど、性被害の実態に即した刑法改正を検討します。

(4)医療・不妊治療

  1. 子宮頸がん(HPV)ワクチンについては、9価ワクチンなど効果の高いものが出てきたことにも鑑みて積極的勧奨を早期に再開し、防げるがんから命と健康を守ります。
  2. 自治体の不妊治療助成を支援・促進するとともに、国として不妊治療への 保険適用を早期に検討し、不妊症・不育症の課題と向き合い仕事と治療が両立できる環境整備に取り組みます。
  3. 母体を適切に守るため、性と生殖に関する知識を啓発するとともに、アフターピルのオンライン診療・処方などの規制緩和を検討します。

(1)同性婚・LGBTQ

  1. 同性婚を認め、LGBTQなど性的少数者が不当な差別をされないための立法措置を早急に講じます。
  2. 自治体による同性パートナーシップ制度を促進するとともに、同性間に限らず使えるパートナーシップ制度「日本版パクス」の導入を検討します 。
  3. 性自認・性同一性を巡る諸課題やトランスジェンダー当事者が直面する困難の解決に取り組み、多様性が尊重される環境整備に向けて政府内に専門的に議論をする会議体を設置します。議論の際は、女性や子どもなどの権利が守られることにも十分な配慮をもって進めます。

(2)障がい者支援

  1. 分身ロボットなどのテクノロジー開発や、超短時間雇用の導入等の規制緩和を通じ、身体・知的・精神の障がい種別にとらわれない障がい者雇用率の向上を推進します。
  2. ポストコロナ時代における働き方に鑑み、健常者のみならず障がい者就労についても通所だけでなくテレワーク(在宅就労)で行えるよう、就労系福祉サービスを活用できる制度とICT環境を整備します。
  3. 長時間の介助を受けられる「重度訪問介護」のサービスについては、経済活動中にも利用可能にする等、重度障がい者が活躍できる環境を整備します。
  4. 障がい者の社会参加に必要な情報アクセスやコミュニケーション手段の保障、デジタル・ディバイド(情報格差)解消のため、行政サービスを中心として情報 保障の充実化を図ります。また、手話を言語として定める手話言語法を制定します。

(3)生活安全・消費者保護

  1. インターネットを通じた新たな犯罪・特殊詐欺や、犯罪の温床となる無登録の投資助言・医療広告などが横行していることに鑑み、各省庁におけるサイバー犯罪対策を強化し、消費者保護に努めます。
  2. 青年層の死因で最も多い自殺について、行政が家庭や教育現場・職場などとも連携をとれる体制整備を促進するとともに、経済的理由による自殺を防ぐための各種雇用・経済施策の充実を図ります。
  3. 二次被害の防止、求償権付の賠償金の一部立て替えなど、犯罪に苦しむ被害者への支援の強化を推進します。同時に、触法障がい者を含む触法者が社会復帰をする更生支援に取り組みます 。

(4)ヘイトスピーチ・誹謗中傷対策

  1. 表現の自由に十分留意しつつ、民族・国籍を理由としたいわゆる「ヘイトスピーチ(日本・日本人が対象のものを含む)」を許さず、不当な差別のない社会の実現のため、実効的な拡散防止措置を講じます。
  2. SNSなどにおける誹謗中傷問題につき、行政による過剰な規制や表現の自由侵害には十分に配慮しつつ、発信者情報開示請求を簡素化するなど司法制度を迅速に活用できる仕組みを整備し、被害者保護と誹謗中傷表現の抑止を図ります。

(5)外国人対応

  1. マイナンバーカードによる外国人労働者の在留管理を推進するとともに、新たな外国人労働者の受け入れも踏まえ、AIチャットボット・AI翻訳を活用した行政の多言語対応など、外国籍児童・外国出身児童を含めた外国籍住民との共生を図ります。
  2. 外国人技能実習制度の実態を調査し、外国人労働者が「労働力の需給調整手段」として使われてきた状況を抜本的に改善して適切な受け入れを推進します。
  3. 偽装難民問題に留意しつつ、難民及び難民申請者への医療・食料等の支援強化や難民申請プロセスの改善など、SDGsの考え方に基づき人道的見地から難民問題に取り組みます。
  4. 安全保障上の観点などから、各級選挙や住民投票における外国人参政権付与については認めない一方、帰化を望む永住外国人のため帰化手続きのさらなる合理化・簡素化を推進します。

(6)SDGs

  1. SDGsに関する国や地方自治体の施策をより一層推進するとともに、 SDGsに取り組む企業団体を奨励します。学校現場でSDGs教育を普及させるなど、「持続可能な開発目標」に対する社会の意識を啓発します。
  2. フードロスや食品の偏在など地球規模の諸課題の解決が期待されるフードテックについて、研究開発や投資環境の促進をするとともに、安全性を確保したルールの策定を検討し、フードテックが社会に受け入れられる環境を整えます。

(7)動物 との共生

  1. 動物愛護管理法による数値規制を徹底するとともに、虐待を監視するアニマルポリスを創設します。保護犬・保護猫の譲渡会の活性化等を推進し、引退犬・猫を温かく迎える環境を整備します。
  2. 譲渡困難のケースを殺処分にカウントせずに「ゼロ達成」と偽る自治体が発生している事態に鑑み、殺処分の定義を厳格に見直し、動物殺処分をゼロに近づける取り組みを強化します。
  3. 国際獣疫事務局(OIE)の勧告に則り、家畜のストレスや疾病を減らすなど「アニマルウェルフェア」に配慮した飼養管理を促進します。