2. 減税と規制改革、日本をダイナミックに飛躍させる成長戦略


(1)総論

  1. 長期低迷とコロナ禍を打破するため、2年(目安)に期間を限定した消費税5%への引き下げを断行します。引き下げ期間終了については経済状況を考慮し、将来的な地方税化と税制改革を合わせて検討します。
  2. 成長のための税制を目指し、消費税のみならず所得税・法人税を減税する「フロー大減税」を断行し、簡素で公平な税制を実現します。
  3. フロー大減税を行うと同時に、ストック課税はそのあり方を見直すなど、「フローからストックへ」を基軸とした税体系全体における抜本的な改革を行います。
  4. 高額所得者ほど総所得に占める金融所得の割合が高く、所得税負担率に逆累進性が働いている現状を改善し、総合課税化とフラットタックス導入を含む税制改革により課税の適正化・格差是正を図ります。
  5. 既得権益化した複雑な租税特別措置法を廃止し、「簡素、公平、活力」の税制へと転換を図ります。
  6. マイナンバー制度の活用や銀行口座との紐付けにより、個人・法人の資産と収入を正確に把握し、効率的かつ公平で抜け漏れのない徴税を行います。

(2)財源移譲

  1. 地方公共団体の自主財源を適切に確保するため、国と地方公共団体による税財源の配分を見直し、恣意的な偏在是正措置を伴う非合理な地方法人税は廃止します。
  2. 消費税は地方自立のための基幹財源と位置づけ、税率設定を地方に任せた地方税へと移行します。

(3)投資促進

  1. エンジェル税制のさらなる促進や、ストックオプションにかかる課税等の一層の見直しにより、投資を促す税制度を整備します。
  2. 交際費への課税を大幅に見直し、負担を軽減することで企業・経済活動のより一層の活性化を促します 。
  3. 投資促進に寄与している少額投資非課税制度(NISA)については、時限措置ではなく恒久措置とし、特につみたて NISAは投資枠の上限拡大を図るとともに、開始時期にかかわらず20年間のつみたて期間が確保されるよう制度期限を延長します。

(1)マクロ経済

  1. 中央銀行をもつ国家と地方自治体は異なることを前提に、長期に渡る不況と低金利にコロナ禍が加わった現状に鑑み、将来世代の負担と過度なインフレを招かない範囲で積極的な財政出動・金融緩和を行います。
  2. コロナ禍により赤字幅が拡大することが確実な基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、現実的な目標期限を再設定したうえで、経済成長/歳出削減/歳入改革のバランスの取れた工程表を作成し、増税のみに頼らない成長重視の財政再建を行います。

(2)会計制度

  1. 「財政の見える化」のため、国・地方の財政制度に発生主義会計と複式簿記を導入し、公会計制度改革を実行します 。

(1)日銀・地銀

  1. 新型コロナウイルスによる影響が続く現状においては、諸外国の対応に十分留意しながら、必要かつ十分な金融緩和を継続します。同時に、常態化している「異次元の金融緩和」における出口戦略の策定に着手し、金融緩和と財政出動に過度に依存しない体制づくりを進めます。
  2. 日銀の会計処理につき、民間金融機関同様に簿価会計ではなく時価会計を導入させ、日銀財務の健全性を明らかにします。
  3. 地方銀行、地域金融機関におけるデジタライゼーション(デジタル化)を促進し、新たな社会環境に対応できるよう自立的な業務改善・収益力強化を図ります。

(2)デジタル通貨・仮想通貨・フィンテック

  1. 特区を用いた実証実験を行うなど、中央デジタル通貨( CBDC)の研究開発を進め、諸外国に乗り遅れないよう目標期限を定めた積極的な導入検討を行います。
  2. 暗号資産税制の改正を行い、暗号資産を利用した資金決済分野の革新を後押しするとともに、ブロックチェーン技術の研究開発を進め、暗号資産の分野で世界をリードする先進国の立場を取り戻します。
  3. フィンテックはじめ金融サービスのイノベーションを推進するため、銀行・証券・保険の垣根を超えた規制改革を推進します。

(3)外資誘致

  1. 特区の活用を含めて税制見直しや多言語対応・在留資格の緩和を推進し、日本国内に香港に代わる新たな国際金融都市を創り出します。

(1)総論

  1. すべての産業分野において、競争政策3点セットとして①供給者から消費者優先、②新規参入規制の撤廃・規制緩和、③敗者の破綻処理が行われ再チャレンジが可能な社会づくりを徹底します。
  2. 特に規制改革については「事前規制から事後チェック」への移行を目指し、過剰な事前規制が阻んできたイノベーションを促進します。根強く行政に残る過剰な規制については、客 観的な指標や 2:1ルール1つの規制を新設するためには 2つの規制を撤廃する)の導入により、段階的に削除していくことを目指します。
  3. 公共工事の拡大ではなく、日本の競争力を高めることに徹底した競争政策を実施します。
  4. 企業のモラルハザードが横行し特許侵害がやり得になっている現状に鑑み、実効性のない刑事罰は廃止し、特許が尊重されるよう法律を整備します。

(2)情報通信・テクノロジー

  1. 特区活用や世界最先端の日本型スーパーシティの実現等により、モノのインターネット(IoT)、ビッグデータ、ロボット、人工知能(AI)等の 技術革新を生かせる競争環境を構築します。
  2. IoT、AI分野の普及・実用化を進めるため、世界共通のプラットフォームに積極的に参加するとともに、衛星データ等国家が保有する情報を積極的に開放し民間利活用を促進するオープンプラットフォーム拡大、データ流通市場の創生支援を行います。
  3. 行政が保有するデータは特段の理由がない限りオープンデータとする「オープン・バイ・デフォルト」の理念を推し進め、国・地方自治体のオープンデータ化について具体的目標を設定するとともに、都市に存在する膨大なデータを蓄積・分析し他の自治体や企業、研究機関などと連携するシティOSの実装を進め、AI化と都市のDX(デジタルトランスフォーメーションを進展させます。
  4. システム開発の遅れ・不具合などコロナ禍で判明した日本のIT業界が抱える問題を直視し、IT化の主張目的が「コスト削減」に留まっている企業体質と状況を改善し、健全な競争環境を整えITによる製品・サービスの開発強化を促します。また、ユーザー企業のシステム開発委託体質(多重下請け構造)からの脱却を図り、エンジニアが正しく評価され力を発揮できる環境を整備します。
  5. 周波数帯によっては電波が有効に利用されていないことを踏まえ、周波数オークション導入のため必要な法改正を行います。
  6. 規制官庁である総務省が肥大化している弊害に鑑み、放送・情報通信に関する行政のうち、規制に関するものを総務省から分離し、新設する独立行政委員会に移管します。
  7. 電波利用料の引き下げにより、電波を電力のスマートメーター、遠隔医療はじめ多様な通信サービスにおいて活用できるよう促進します。
  8. 官民において対面・書面交付原則の見直しや、AI活用・決済の 100%電子化・印鑑廃止など、DXの徹底による業務効率の改善を促進します。
  9. クレジットカードや電子マネー、 QRコード決済など、キャッシュレスによる方法での税・保険料・手数料の受付を拡大するため、受け取り体制の整備を促進します。
  10. 通信事業者に対する公共施設の空間開放を積極的に行い、5G基地局や Wi-Fi設置の拡充を推進します。
  11. 放送と通信の大融合時代に相応しい放送・電波制度のあり方を検討するとともに、NHKを公共NHKと(民間とイコールフッティングで競争する)民間NHKとに分割し、NHK受信料制度の抜本改革を断行します。

(3)中小企業対策

  1. 「下請けいじめ」等を防止するため、独占禁止法の優越的地位の濫用禁止規定や、下請け代金支払遅延等防止法を厳格に運用し、中小零細企業が親会社を含めた大企業との取引で契約通りの支払い等を受けられる環境整備を推進します。
  2. 災害復興時に地元の中小零細建設業の利活用が必要なことから、国の出先機関の発注する公共工事では、当該地域の中小零細企業の受注割合は5割程度を目途に定めます。
  3. 中小企業の円滑な事業承継の実現に向けた税制の見直しをさらに推し進め、第三者による承継(M&A)を後押しすることで、地域の雇用を守り、中小企業の技術やノウハウの喪失を防ぎます。

(4)医療・介護

  1. IoT、AI導入やビッグデータの活用、5G通信の実験などにより、医療・健康分野の産業化・高度化を推進します。
  2. 診療報酬点数の決定にあたり、医療サービスの需給バランスを通じた調整メカニズムを導入します。
  3. 患者が望む先進医療を適時適切に受けられるよう、混合診療を解禁・推進します。
  4. 医療法人等の経営・資金調達方法については、規制を大幅に緩和し、より患者や利用者のニーズを満たす事業運営を可能にします。
  5. 医療品販売に代表される過度な対面販売規制等を見直し、利便性の向上とITビジネスの活性化を図ります。

(5)農林水産業

  1. 減反政策の廃止を徹底し、コメ輸出を強力に推進します。また、戸別所得補償制度の適用対象を主業農家に限定します。
  2. 農協法の更なる改正により、地域農協から金融部門を分離し、また地域別に株式会社化することで、「農協から農家のための農業政策」へ転換を図ります。
  3. 農協の地域独占体制を改善するために、農協に対する独占禁止法の適用除外規定を廃止し、複数の地域農協の設立を促進するなど、競争環境を整備します。
  4. 農地法改正により、株式会社の土地保有を全面的に認め、新規参入を促進します。同時にゾーニングと転用規制を厳格化し、農地の減少を食い止めます。
  5. 企業による農地取得やコメ先物取引の本上場など、必要な成長戦略がいわゆる「族議員」と農水省 によって次々に頓挫させられてきた現状に鑑み、一次産業のイノベーションを阻む農水行政のあり方は抜本的に見直し、農水省は解体的な改編も視野に組織改革を行います。
  6. 農業委員会のあり方を見直し、必置規制を廃止するなど、その判断を自治体に委ねる農政の地方分権改革を進めます。
  7. 種苗の開発者の育成者権を守り、種苗の不正な海外流出を防ぐ環境を整備するとともに、積極的に研究開発を行う農家・開発者による新たなビジネスモデルの構築を支援します。
  8. 国民病となっている花粉症対策として、無花粉・少花粉スギ等の植栽面積の拡大と花粉を出す樹齢のスギ等の伐採を推進します。
  9. 国産材の需要拡大を図るため、国産木材の積極的な活用を支援し、森林の適正な保全に繋げます。
  10. 改正鳥獣被害防止法を積極的に活用し、鳥獣の捕獲等について専門的な知識経験を有する者を育成するとともに、ジビエとしての加工・流通・販売のための衛生管理の高度化を促進します。
  11. 水産業における乱獲防止のため、漁獲量を科学的に管理し、割当て制の導入を促進します。
  12. 外交を通じて日本周辺海域及び世界各地域における乱獲や不当操業を防止し、漁業資源の保全を図ります。

(6)観光・エンタメ産業

  1. ギャンブル依存症対策の大幅な充実・不正を防ぐ徹底的な情報公開を前提に、地域事情に合わせてシンガポール型の統合リゾート(IR)を推進します。コロナ禍で海外資本の参入が厳しくなった現状に鑑み、ライセンス期間の延長など必要な法改正を検討します。
  2. 既得権となってきたパチンコのグレー規制を見直し、パチンコは遊戯ではなくギャンブルとして位置づけ課税することも視野に、パチンコ産業の健全化に向けた法整 備を行います。
  3. 表現の自由を最大限尊重し、マンガ・アニメ・ゲームなどの内容に行政が過度に干渉しないコンテンツ産業支援を目指します。 MANGAナショナルセンターの設置による作品アーカイブの促進、インバウンドを意識した文化発信やクリエイターの育成支援などを行います。
  4. 文化的コンテンツ等をデジタルデータとしてブロックチェーン上に記録したいわゆるNFT(非代替性トークン)について、イノベーションを阻害しないルール作りによる市場の拡大支援を行い、日本の強みである マンガ・ アニメ・ゲーム等のコンテンツ産業・アート市場のさ らなる発展を後押しします。
  5. 新型感染症により大きな影響を受けた観光産業について、中央政府による画一的な助成支援ではなく、地方自治体主導による各地域経済圏からの段階的な振興政策を打ち出します。
  6. ナイトエコノミーを支える風営法対象業者については、感染症拡大時のガイドライン策定や法整備を行うとともに、警察と連携して平時においても違法業者の取締を強化します。

(7)運輸・交通

  1. 財やサービスの所有から利用への転換を見越し、ライドシェアや民泊普及の障壁となる規制を撤廃し、シェアリングエコノミーを強力に推進します。
  2. 世界的な開発競争が生じている自動運転の国内技術発展を支援し、公道実験の推進等により早期の実用化を図ります。
  3. ライドシェアにおける複数の交通サービスをITで統合し、一括して予約・決済する仕組みを導入するなど、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)をより一層推進します。
  4. 東京メトロの政府保有株式を売却し、東京メトロと都営地下鉄の一元化を早期に実現し、利用者・観光客の利便性向上を実現します。
  5. 地方空港を「選択と集中」により整理し、国際ハブ空港の機能を強化し、空港民営化と質の向上を推進します。

(8)芸術・科学・スポーツ文化振興

  1. 2025年大阪・関西万博の成功に向け、国と開催都市、官民が強力に連携して国内機運の醸成に努めます。
  2. 科学立国の礎となる基礎研究について、十分な研究費を確保するとともに、若手を中心とする多様な人材が活発に研究できる環境づくりを推進します。
  3. 国立国会図書館や国立大学に所蔵されている書籍、貴重図書、資料などのデジタル化を推進し、アーカイブの積極的な活用を図るとともに、デジタルアーカイブを担う人材の育成を行います。
  4. 施設等の箱モノ整備や補助金支給にとどまりがちな文化芸術施策を見直し、文化施設のコンセッション方式やアーツカウンシルの導入を促進するとともに、各種法令の規制緩和を行うなど、芸術家等が自立して活動・発表できる機会を多面的に提供します。
  5. 障がい者スポーツを含む各種競技の国際大会の招致を推進し、スポーツによる都市魅力の向上、地域経済の活性化・健康増進を図ります。
  6. 市場規模の拡大や教育効果が期待される「eスポーツ」について、国際大会の積極的な招致を行うなど、官民が連携してその普及・促進を図ります。